現在のリールの主流は軽量リールですよね。
具体的には3000番代で200gを切るようなリールでしょうか。
イグジストやヴァンキッシュをはじめとして、各社がより軽いリールを作るために凌ぎを削っているような状況です。
この軽量リールへの傾倒ですが、もうそろそろいいんじゃないかと個人的には思ったりもします。
しかし、巻き心地などは既にかなりの所まで行き着いていて大きな変化は難しそうですし、
かといって剛性や耐久性を突き詰めるとリールが長持ちしすぎて買い替えスパンが長くなる事から、メーカー側からすればあまり良いことではないのかもしれません。
企業の本質は、売上を上げて利益を出す事ですからね。
したがって、従来品よりもこれだけ軽くなりました!っていう変化は、ユーザーにリールの進化を数値的にアピールできる分かりやすい要素である為、メーカー側もユーザー側も良しとしてしまう傾向にあるのではと思います。
じゃあ、軽量リールの最大の利点って何なの?っていうことを今回考えてみました。
※主にシーバス釣り等の場合に限定される考察記事です。他の釣りモノにはそぐわない内容も含まれているかもしれません。
タックルバランスが重要
リールやロッドなどは軽ければ軽いほど良いという訳ではなく、重要なのはタックルバランスです。
ここでは、その一例を取り上げてみたいと思います。
モアザンブランジーノの例
リールではありませんが、モアザン ブランジーノ94ML・J「マッチザバイトカスタム」という9.4ftのロッドがあります。
これは湾奥での釣りを想定して作られたロッドのようで、運河のような安全柵のある場所からでもキャストや小技がやり易いように、グリップエンドが短く作られています。
モアザンブランジーノ94ML・j(参照:ダイワ)
一方で、モアザン ブランジーノ97ML/M・J「ストリームランカーカスタム」というロッドが同シリーズにあります。
これは、大河川などを想定したロッドで、脇にロッドを挟んで安定したリーリングできるようにグリップエンドが長く作られています。
モアザンブランジーノ97ML/M・j(参照:ダイワ)
それで、これらの重量を比較してみると、
94ML・J・・・148g
97ML/M・J・・・137g
と、なぜか全長が3インチ短いはずの94MLの方が11gも重くなっています。
しかも、97ML/M・Jの方が少し強いブランク(=重い)を使っているのにも関わらずです。
何故でしょう?
この理由としては、94ML・jはグリップエンドが短く作られているが故に、持ち重りがキツく、グリップ側をあえて重くすることでロッドの重心を手元に寄せてバランスを取っている結果だと思われます。
要はブランジーノ94ML・jマッチザバイトカスタムは、軽さを捨ててまでグリップエンド側を重くして全体のバランスをとる必要があったという事ですね。
つまり、タックルセッティングは軽ければ軽いほど良いというわけでもなく、手元に重心が近い方がタックルバランス的には良いので、一概に軽いロッドやリールが良いという訳でも無いという事です。
タックルセッティングの例
分かりやすく例えると、
湾奥のプリンスこと大野ゆうき氏のメインタックルは自身がプロデュースしたブランジーノ94ML・Jに19イグジストLTのセッティングです。
湾奥の釣りをメインとしている人なので、通常のメインライン(PEライン)の号数は0.8号、太くてもせいぜい1.0号だと思います。
この場合、ラインキャパを考えるとLT3000は1号を200m巻けるので、ラインキャパ的に適正なリール番手はLT3000と言えます。
LTコンセプト以前の2510PE-Hという番手ですね。
しかし、本人はLT4000を使っています。
より軽いリールを求めるならば、ラインキャパが適正なLT3000(185g)を使えば良いと思うのですが、実際にはLT4000(205g)を使っているんですね。
理由は本人に聞いてみなければ分かりませんが、軽さだけを考えたセッティングでは無いことは確かなようです。
軽量リールの最大の利点
以上のように、タックルにはバランスというものがあり、リールは軽ければ軽いほど良いという訳ではないように思います。
より軽いリールを良しとするのであれば、ライトゲーム用の2000番クラスにラインキャパを増やした深溝スプールタイプを出せばかなり軽くなりますよね。
でも、実際にはそれではリールの巻き上げパワーがシーバス用としては不足してしまう訳です。
なので、軽量リールを使う最大のメリットというのは、
1サイズ大きなパワーのあるリールをセットできる
という点であると思います。
例えば、今までのセッティングではシマノでいうC3000番のリールが重量的にも適正なタックルバランスだったとします。
しかし、軽量なリールでは、重量を重くすることなく(タックルバランスを損なわず)4000番クラスの大きなリールが採用できます。
そうする事で、軽量を維持しながら、
巻き上げ力が上がり、余裕を持って魚とファイトができる。
という今までのセッティングには無かったメリットが生まれますよね。
リールに余力があったほうが強引なパワーファイトも可能ですし、ギヤの耐久性も上がると思います。
つまり、
軽さとパワーの両立
これこそが、軽量リールの最大の利点ではないかなと個人的に思います。
ヴァンキッシュで例えると
2019年現在で恐らく最軽量を誇る19ヴァンキッシュが発売されましたので、例えてみます。
参照:シマノ
具体例を上げてみると、
旧型の16ヴァンキッシュ・・・3000番代が210g
新型の19ヴァンキッシュ・・・4000HGで205g
となります。
そのため、旧モデルの3000番と新モデルの4000番ほぼ同じ重量という事になりますので、新モデルでは200g程度の重量を維持しながらより大きくパワーのある4000番のリールをバランスを損なうことなく導入できる事になりますよね。
軽量リールの利点を最大限に生かす
18イグジストや19ヴァンキッシュに代表される軽量リールの最大のメリットとは、より軽いリール・番手を使ってタックル全体の重量を軽くする事ではなくて、
・タックルの総重量を維持したまま、1サイズ大きなパワーのあるリールをセットできる。
・それによって軽さを維持しながら、よりパワフルで余裕のあるファイトが可能になる。
という軽さとパワーを両立できる事なのかなと感じます。
なので、軽量リールの利点を最大限に活かすためには、例えばシーバスの場合、
今までは3000番のリールを使っていたアングラーが、4000番クラスの軽量リールを新たに選択する事で、軽さとパワフルな巻き上げ力を両立する事が可能になると思います。
3000番の極端に軽いリールを使うメリットもあるとは思いますが、4000番の軽さとパワーの両立というメリットと天秤にかけてどちらを優先させるかという事だと思いますね。
エギングなどでは軽ければ軽いほうが楽にシャクる事ができて良いのかもしれませんが、時にパワーファイトも求められるシーバスなどにおいては、後者の方が恩恵が大きく、バランスも取れているのかなと私は思います。
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