私がシーバスでメインで使用しているリール(17セオリー2510PE-H)ですが、ゴリ感が発生したことによって分解を行ったため、マグシールドレスの状態です。
1年間くらい、マグシールドレスの状態で釣りをしてきて、まだ不具合は発生していないのですが、ソルトで使用する以上やっぱり不安なんですよね。
ダイワがマグオイルを単品で提供していない以上、分解したリールはマグシールドレスのままか、あるいは代替品を注油するかの二択です。
ダイワサポートは勝手に分解するとサポート外になる可能性があるそうです。
なので、ずっとマグオイルの代替品がないかと探していました。
そして今回、手に入れたモノがあるので紹介してみます。
そして、これらに関連する問題点にも少し踏み込んでみます。
マグシールドの素は磁性流体
マグシールドというのは、磁性を帯びたオイルを回転部に充填してシーリングするという技術ですが、この磁性を帯びたオイル(マグオイル)を磁性流体といいます。
磁性流体は磁石を近づけると、下の写真のように「スパイク現象」というものが起きます。
オイルでありながら半固体のように振舞うわけですね。
参考:wikipedia
このような特徴を活かしてリールのボディから外へ延びる回転軸のクリアランスに磁性流体による油膜を貼って(マグオイルを充填させて)、駆動部への海水の侵入を防ぐ機構がマグシールドです。
ダイワのマグオイルの製造元は?
公表されてはいませんが、ダイワのマグオイルは「フェローテックホールディングス」という会社が供給元であると推定されます。
この会社のHP内をみると、
http://www.ferrotec.co.jp/yokoso/p2.html
このように釣具のリールに使用してる旨の記載があります。
リールに磁性流体を使用しているのはダイワ以外ありませんから、高確率でこの会社がダイワのマグオイルを供給してるのでしょう。
しかし、この会社は個人への磁性流体の供給は行っていませんし、ダイワも個人への販売を行っていません。
なので、自分で代替品を探す必要があるんですね。
マグオイルに求められる性能
磁性流体であれば、なんでもいいのかといえばそうではありません。
磁性流体の元はマグネタイトと呼ばれる磁性を帯びたミクロな鉱物ですが、磁性流体としての製品には、別のベースオイルが混ぜられています。
このベースオイルの種類によって粘度や揮発性などの特徴が異なり、目的に合わせた磁性流体が製造され、各種工業製品に利用されています。
で、
リールのマグオイルとして求められる磁性流体の特性としては、
①回転を阻害しないような低粘度であること
②空気に晒すため、低揮発性で蒸発しにくいこと
が要求されます。
粘度が高ければリーリングが重くなってしまいますし、揮発性が高ければすぐに蒸発してシーリングが解けてしまいますからね。
アマゾンや楽天などのネット通販で売られているものもありますが、これは恐らくベースオイルの揮発性が高くてすぐにダメになると思います。
このあたりダイワ純正のマグオイルは、この辺りをリール用に最適化した調合になっているものと思われます。
従って、代替品としては、これらをある程度クリアしたものが望ましいと考えられます。
入手した磁性流体
私が今回入手した磁性流体はこちらになります。
2.5ml入りの工業用磁性流体です。
この会社は工業用磁性流体を製造販売している会社で、HP上で個人向けにも磁性流体を通信販売しています。
ここでは様々な種類の磁性流体が販売されており、どれが適切なのか分かり兼ねたので、メールで問い合わせてみました。
以下、その内容です。
質問事項(私)
・ダイワというメーカーのリールに磁性流体が使われており、その代替品として御社の磁性流体を実験的に使用したい。
・揮発性の低いものが希望だが、製品A、製品B、製品Cの3種類があり、それぞれの特徴を教えて欲しい。
・同様な問い合わせもあろうかと思うので、その際に選ばれている物を教えて欲しい。
回答(メーカー)
・リール用としてラインナップしている製品はなく、リール用として積極的にお薦めできる製品は無い。
・ただし、リール用として磁性流体を購入されるケースもある。
・その場合、ほとんどの場合で製品Aを購入される。
・製品Aは製品B、製品Cよりも揮発性が低い。そのため、リール用の目的で選ばれているかもしれない。
とのことでした。
用途外の使用にも関わらず、担当の方は分かる範囲で紳士的にご返信くださいました。
つまり、リール用の磁性流体では無いので積極的にはお薦めできないが、リール用に購入されている方もおり、その場合は揮発性の低い「製品A」が選ばれているという事でした。
製品Aの価格は2.5mlで約4000円とそこそこ高いのですが、いくらか中身が分かりましたので実験的に最も揮発性の低い「製品A」を購入することにしました。
代替マグオイルを注油する
それでは、届いた代替マグオイルを実際に注油していきます。
ローターを取り外すとマグシールドが露出します。
下の写真はマグオイルが無い状態です。
そこにインジェクター(スポイトでも可)を使用して、マグオイルを数滴垂らします。
わかりにくいですが、隙間にマグオイルが広がっていき充填されました。
見掛けはダイワのマグオイルと同じ状態にシーリングされています。
元々リール用の製品ではないので代用するには自己責任が伴いますが、巻き感も重くないですし、代替品として十分代用できるレベルではないかと思います。
今後、使用感や経年劣化による揮発性なども検証していきたいと思います。
問題提起「ダイワはマグシールドを供給しろ」
ここではちょっと問題提起をしてみます。
まず、
ダイワにはマグオイルをユーザーに供給してもらいたい。
分解を推奨してない以上、メーカーとして供給できない気持ちはわかります。
しかし、揮発による消失も報告されていますし、たとえサポート外にしてマグオイルを供給しなくても、自己責任で分解するユーザーは必ずいます。
そして私のように代替品を探す訳です。
さらに、私が最も問題だと思うのは、
代替マグオイルがオークションサイトなどで転売ビジネス化している
という現実です。
出品されている製品が今回入手した磁性流体と同じかは分かりませんが、私も出来ちゃう訳です。転売。
今回購入した2.5mlのうち、そのほとんどが余ってますからね。0.1mlも使ってないのでは?
オークションサイトでは0.5mlが大体2500円位で売られているので、私の入手した磁性流体を転売すると、2.5mlを4,000円で買ったものが0.5ml×5個=12,500円で転売できる訳ですよ。
メーカーさんとやりとりをする中で、リピートする方もいるとの記載があったのでピンときました。
2.5mlもあれば恐らくリール100台分くらいの量はあるのに、個人利用目的で磁性流体をリピートしますか?
オークションサイトの代替マグオイルの購買履歴を見ると、既に数百人が購入している現実
それだけ分解や揮発によってマグオイルを失い、代替品を模索しているユーザーがいるという事です。
余った代替マグオイルを売ることは問題ないと思いますし、転売ビジネス自体も違法性は全くありませんが、
この現状はダイワが望んだものなのか?
ダイワはこれでいいのか?
と思う訳です。
マグオイルをどうしても個人には提供できないというならば、注油をサポート対象にするとか、釣具屋に注油を代行させるとか、何とかならないものでしょうか。
こういった事をブログで書いてしまうと、自分も転売しようという人が出てしまう事も懸念されるので最初は公開をためらいました。
しかし、ダイワには何らかの形でマグオイルを提供して欲しいと思ったので、1ユーザーとして現実を記事にしてみました。
おわりに
今回、マグシールドを搭載したリールの分解除去したマグオイルの代替品を入手し、注油してみました。
リール用のマグオイルとしては、低粘度と低揮発性が求められますが、概ねこれらをクリアしているのではと思います。
元々リール用の製品でないので自己責任にはなりますが、代替品として製造元やベースオイルが分かっているのは重要かなと思います。
ちょっと変な話もしてしまいましたが、本来はダイワがマグシールドを提供してくれれば、あれこれ探す必要が無くて良いのですけどね。
※今回紹介した磁性流体はこちらからメーカーと直接やりとりして通販できます(2.5mlで3800円の最も高価な製品です)。ご利用は自己責任でお願いしますね。
2019.2.4追記:
最近HPを確認してみたところ、価格が2倍に上昇していました(汗)
これではそう簡単に手が出せませんね。。。
コメント
なるほど。。
なかなかためになる記事
ありがとうございます。
マグシールド。。
闇が深いですねーー。。
Nobさん
コメントありがとうございます。
個人的には良い機能だと思っているのですが、察しのとおりです(^_^;)
そして、その闇はダイワ自らが作り出してしまっているという事実。。