稚鮎パターンといえば、春の河川の強力なパターンとなりうる可能性が秘めていますが、ルアーセレクトの際にマッチザベイトを意識する場合、どのくらいのサイズを意識すれば良いのでしょうか。
一般的には5~8㎝といわれていることが多いようです。
この稚鮎のサイズを文献等に基づいて考察してみたいと思います。
なお、稚鮎パターンの解説については、こちらの動画で詳しく触れていますので、興味のある方はご視聴下さい!
多摩川での調査例
ひとつ目の参考例として、以下の文献を抜粋します。
「多摩川における稚鮎の遡上生態等について(海産稚アユ等資源量調査),1984,東京都水産試験場.」
稚鮎の採取場所
稚鮎の採取場所・・・多摩川河口から13km上流の汽水域
採取期間・・・昭和58年3月1日~5月31日
稚鮎の平均サイズ
全サンプル数・・・3672尾
稚鮎の平均サイズ・・・7.6㎝
最大サイズ・・・16.5㎝(5/31)
個体のサイズは5㎝~12㎝。主要なものは6㎝~8㎝。
つまり、これでわかるのは、稚鮎といってもサイズにはバラツキがあるということですね。
月ごとのサイズ
次に、多摩川では月ごとに遡上する稚鮎のサイズは違う結果となっているようです。
特筆すべきは、どんどんサイズが小さくなっている事。
これは、大きな個体や群れから順に河川を遡上するということでしょう。
矢作川の例
ふたつ目の参考例として、以下の文献を抜粋します。
「高橋勇夫・新見克也,1999,矢作川におけるアユの生活史-Ⅱ 遡上から産卵・流下までの生態,矢作川研究 No.3:247~267.」
稚鮎の採取場所
稚鮎の採取場所・・・河口から15km上流(矢作古川分岐点ほか)
採取期間・・・平成9年4月~6月で計7回の採取。
稚鮎のサイズ
一番左の白抜きヒストグラムが河口に最も近い場所のデータであるため参考になると思います。
これをみると,稚鮎のサイズは、時期によっては10㎝ほどのサイズも見受けられますが、概ね5~8㎝に収まっています。
また,多摩川で見られたような時期的な稚鮎のサイズの変化は認められていません。
まとめと考察
以上の二つの河川の調査結果に基づくと、稚鮎のサイズは概ね5~8㎝程度が主体となっています。
多摩川では、時期が遅くなるほど稚鮎のサイズは小さくなる傾向がありますが、矢作川ではこの傾向は認められません。これは、この河川や海域の環境の差かもしれませんね。
そして、大きいものでは10㎝以上のサイズになることもあるようです。
以上から、マッチザベイトを意識した場合のルアーサイズは、8㎝前後を基本とすることが妥当でしょうか。
しかし,サイズにはそれなりのバラツキが認められますので、食いが悪かったり、稚鮎がそこら中に湧いているようなケースで、よりルアーを目立たせたいと行った場合には10㎝サイズのルアーを選択することも問題なさそうです。
なので、ルアーのサイズは小さくないとダメだというわけではなく、色々なサイズを試し、その日の魚の反応を見ていく必要がありそうです。
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