近年のソルトルアーフィッシングでは、飛距離と感度を重視したスタイル、すなわち、道糸にPEラインとショックリーダーを結束させて使用することが一般的です。
今回は、実際にリーダーシステムを組むときの互いのラインの強度を考えてみました。
メインライン(PE)とショックリーダーの強度の組み合わせ
メインラインのPEラインとショックリーダーの組み合わせとしては、
①道糸の強度の方が強い
②リーダーの強度の方が強い
③リーダーと道糸が同じくらいの強度
の3パターンがあります。
これら組み合せは、フィールドの状況などによって変化すると思いますが、
たとえば、根ズレをあまり考慮しなくて良いようなフィールド状況下で、根がかりの際、道糸を保護する目的でリーダー側で確実に破断するようなシステムを組みたいと思う事もあると思います。
この場合、道糸としてのPEラインとショックリーダーはどの程度の強度を見込めば良いのかを考えてみました。
実際に担保できるメインライン(PEライン)の強度
では、リーダーシステムにおいてリーダー側を確実に破断させたい場合、具体的にどのような強度のシステムを組む必要があるのかを考えてみます。
ここでは、道糸としてのPEラインを、多くのアングラーに愛されていて私も使用している「よつあみG-soulアップグレードX8」を例にして考えていきます。
PEラインの結束強度
下の表では、アップグレードX8のライン強度と、FGノットでリーダーと結束した場合のPEラインの結束強度を 80%と仮定した強度を示します。
たとえば、1.0号(MAX 22 Lb)のPEラインの結束強度を考慮したライン強度は17.6 Lb・7.9 kgです。
号数 | ライン強度 (カタログ値) | 結束強度 (80%と仮定) | ||
MAX Lb | kg | MAX Lb | kg | |
0.6 | 14 | 6.3 | 11.2 | 5.0 |
0.8 | 16 | 7.2 | 12.8 | 5.8 |
1.0 | 22 | 9.9 | 17.6 | 7.9 |
1.2 | 25 | 11.3 | 20.0 | 9.0 |
1.5 | 30 | 13.5 | 24.0 | 10.8 |
カタログ値の強度の多くはMAX表記
ここで重要なのは、アップグレードX8のカタログ値に記載されているライン強度はあくまでMAX表記であること。
つまり、この強度で必ず切れますよとの意味なので、安定的な強度、すなわち実用的に見込める強度はもう少し低いはずです。
したがって、実際のPEラインの結束強度は17.6 Lbではなく、平均強度がMAX強度の80%~90%と仮定すると、見込めるPEラインの強度は14~16 Lbになるわけです。
この時点で、リーダーシステムにおけるPEラインの結束強度は、カタログ値(MAX強度)の60%程度の強度しか見込めないことになります。
実釣時に担保されるPEライン強度の下限値
以上から、PEラインの強度は、カタログ値の約60%程度の強度が平均的な強度だと考えられますが、実釣時においては、さらに考慮する要素があります。
それは、
PEラインの経年劣化。
これらを全て考慮して安全側に考えた場合、1号のPEラインの強度は、カタログスペック(MAX表記)の50%程度の11 Lb・5kgと考えておいたほうが無難かもしれません。
よって、よつあみG-Soulアップグレードを例にすると、リーダーシステムを組んだ場合に担保されるPEラインの破断強度の下限値は、カタログ値に記載されているMAX Lbの50%程度と考えられます(下表参照)。
号数 | ライン強度 (カタログ値) | 見込める強度の下限値 (50%) | ||
MAX Lb | kg | Lb | kg | |
0.6 | 14 | 6.3 | 7.0 | 3.2 |
0.8 | 16 | 7.2 | 8.0 | 3.6 |
1.0 | 22 | 9.9 | 11.0 | 5.0 |
1.2 | 25 | 11.3 | 12.5 | 5.6 |
1.5 | 30 | 13.5 | 15.0 | 6.8 |
こうやって定量化してみると、思っていたよりも低い値になりますね。
本当かな?とも思いますが、
私は実際、1.2号のPEライン(MAX 25 Lb)に16 Lbのリーダーを組んでいますが、以前、根がかりした際にPEラインが結束部で破断した経験があります。
つまり、1.2号のPEの結束部には16 Lb以下の強度しかなかったということですので、上表における1.2号の強度12.5 Lbはあながち間違いでもないと思っています。
まとめ
リーダーシステムを組んだ場合のPEラインの強度を考察してみたところ、実際に担保される強度(下限値)はカタログ値に記載されているMAX Lbの50%くらいが妥当ではないかとの結論になりました。
したがって、根がかりを外す際に「リーダー側を確実に破断させたい」といったシステムを組もうとした場合には、1.2号で12 Lb、1.0号で10 Lb、0.8号では8 Lbといった思っていたよりも細糸のリーダーを組む必要があると思います。
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