今回は禁断のマグシールド機であるダイワリール(17セオリー)を分解してみた話です。
基本マグシールド機は分解は推奨されていませんし、最悪はサポート外になる可能性もありますので、もし分解をしようと思われる方はそれなりのリスクを覚悟してくださいね。
さらに、マグシールド関係やギヤ関係などは修理専門になっており、取り寄せできませんのでお気をつけください。
ゴリ感の発生までの経緯
我が17セオリー2510H-PEですが、購入後数ヶ月のあるとき、
ゴリゴリゴリゴリ!
!?
こ、こいつ、ゴリってやがる。。。
なぜ?と記憶を思い起こしてみること数分。
あ、そういえば一度海水に落下してる。。。
そうです、ある釣行で不注意によってリールが水没した事があったのです。
水没は一瞬でしたので、
「マグシールドだから大丈夫っしょ。海水シャットアウトするんでしょ?すごい機能なんでしょ?ねえダイワさん?」
とマグシールドがどんな機構であるかも理解しないまま前向きに捉えていました。
その後も1ヶ月くらいは機関良好で、ギヤがこなれてきたのか、その巻心地はどんどん滑らかになっており、巻く行為自体が楽しくなっていました。
しかし、そんな心地よい時間も長くは続かず、次第にゴリ感が。
最初は、「あれ?たまに引っかかる感触があるな」程度でしたが、次第に釣りが困難なほどのゴリゴリが発生。
お気に入りのセオリーが、購入後数ヶ月で使い物にならなくなってしました(泣)
おそらく塩ガミか、ギヤやベアリングにサビが発生したのだろうとこの時は考えていました。
このゴリゴリセオリーどうしよう。
オーバーホールに出したいけれども、帰ってくるまで1ヶ月程時間が掛かるらしく、その期間釣りに行けないのは辛い(これからハイシーズンだ)。
いろいろ考えたり、ネットを検索していると、マグシールド機の分解記録やマグシールドいらないといった記事をちらほら見かけます。
ゴクリ。
よし、分解しよう!
こうして私は、ゴリ感の原因を探るため、購入数ヶ月のまだまだ綺麗なセオリーを分解するという暴挙に出ました。
※メーカーは分解を推奨しておりません。
浸水した際にやらなければならなかった事
リールを浸水してしまった場合、本来自分がしなければならかなかった事は、浸水後、直ちにメーカーへオーバーホールに出す事。
オーバーホールにて機関の洗浄を行ってもらっていれば何も問題は無かったはずです。
しかし私は、オーバーホール中の期間にサブのボロリールを使いたくなかった事から、マグシールドがあるから大丈夫と自分に都合よくとらえ、事態を悪化させてしまったのです。
分解に使用する工具
分解に使用する工具や道具は左から、パーツクリーナー、ダイワ純正オイル&グリス、ギヤ用グリス、精密ドライバー、レンチ、ピンセットです。
以下に、各工具および道具を紹介します。
①パーツクリーナー
ベアリングやギヤなどの洗浄を行う洗浄剤です。ホームセンターで300円前後で売っており、非常に安いです。
②ダイワ純正オイル&グリス
パーツクリーナーで洗浄したベアリングに注油するオイルとグリスです。
※ギヤ関係には、このグリスは粘性が低いため適していませんので、ギヤ専用のものを使用しましょう。
③ギヤ用グリス
ギヤ用には粘性の高いグリスを使用します。
私はシマノのグリスを流用しましたが、グリスによって個性がありこれによって大きく巻き心地が変わるようです。
IOSファクトリーのグリスが粘性が高いようで良さそうですね!
④精密ドライバー
精密ドライバーは各種リールを留めているネジを取り外す際に使用します。
この際に、下写真の様なドライバーセットが便利です。
というのも、セオリーでは分解するのにプラスドライバーだけでも3つのサイズが必要になり、ボディを分解しようと思えば、さらに特殊なネジ形状なので「トルクスドライバー」が必要となってきます(T8サイズを使用)。
このようなドライバーセットがホームセンターやネットで1000円ちょっとで売っていますのでおすすめです。
⑤レンチ
レンチはローターをボディから外す際に使用します。
なお17セオリー2510PE-Hでは内径12㎜を使用しました。
100均に売ってますのでご用意くださいね。
⑥ピンセット
部品を取ったりつけたりする際に使用します。
これも100均でOKですね。
後は、ボディ内の掃除用に爪楊枝や綿棒があれば便利です。
分解してゴリ感の原因を探る
とりあえず、知識も乏しいままですが、分解して原因を調べてみました。
①ローターの取り外し
まず、スプールとスプール受けの部品を取り外し、その後、12㎜レンチでローターを取り外します。
※このローターの取り外し以降の分解が推奨されていません。
②マグシールド機構の取り外し
ローターを外すとマグシールドが見えます(除去済み)。
マグシールドはこの部隙(回転部がボディ外へ出る場所)をマグオイル(磁性を帯びたオイル)で充填し、海水をシャットアウトする機構です。
この部分がもっとも浸水しやすい箇所であり、この下部にはピニオンギヤが位置しています。
このピニオンギヤとベアリングを保護する目的でマグシールドが設置されているようです。
③ワンウェイクラッチ、クラッチリングの取り外し
次にマグシールド用の部品とワンウェイクラッチ、クラッチリングを取り外します。
この際にマグシールド(マグオイルの膜)は取れてしまうので、ティッシュでマグオイルを拭き取ります(写真は既に除去済みです)
④ピニオンギヤの取り外し
ピニオンギヤが見えますので取り外します。
ピニオンギヤは、メインギヤの縦回転を横回転に替えてローターを回転させるギヤですね。
このピニオンギヤの上下には軸受けとしてベアリングが設置されています。
このピニオンギヤの上のベアリングを取り外して、回転のチェックをしてみます。
すると、ゴリゴリしており、内径が回ったり回らなかったりしています。
結構あっさりと原因を突き止めました!
どうやらピニオンギヤを支持する上側のベアリングがゴリ感の原因のようです。
ゴリ感の原因はピニオンギヤ部のベアリングの塩ガミだった
分解の結果、ゴリ感の原因はピニオンギヤ上部のベアリングの塩ガミであることが判明しました。
ボディ内も分解してメインギヤと内部のベアリングを確認しましたが、問題はありませんでした。
また、ボディ内には結露のように水滴が点在しており、ギヤに添付されたグリスは乳化していました(ギヤ関係は綺麗で問題なし)。
このように、明らかにボディ内部に水が侵入している形跡がありましたので、マグシールドとは別の箇所から海水が浸水したようです。
一番怪しいのは、潮ガミが酷かったピニオンギヤに近い逆転レバーですね。
分解後は、ベアリングは全部洗浄、注油をし、グリスは乳化してましたのでギヤも洗浄、グリスアップして組み上げたところ、ゴリ感は無く、セオリーは復活しました!
ひとまず原因が分かり安心しました。
まとめ
ダイワのマグシールド機を浸水させてしまい、その結果、ゴリ感が発生したため、本来は推奨されていませんが、分解を試みました。
分解の結果、ピニオンギヤの上部のベアリングが潮ガミしており、これがゴリ感の原因である事が分かりました。
マグシールドは分解前には機能していたことから、浸水した際にマグシールド以外の場所からボディ内部に海水が流入したと考えられます。
私がやったことは、部品を洗浄して組み上げただけです。
この簡単な作業も本来は自分でやっちゃいけないってどういうことなの?と思いましたが、リールも精密機械ですので、素人がやるとどこかしらに不具合が出るのかもしれませんね。
しかし、リールの自己メンテナンスも釣りの楽しみの一つなはずなので、自己責任でいいので、全部のパーツを取り寄せ可能にして欲しいですよね(特にマグオイル)。
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コメント
記事すごく参考になりました。ありがとうございます。メンテで少しお聞きしたいことがありまして、ダイワのリールのシャフト部にシマノのオイルを注油しても問題はないでしょうか。もしよろしければお教えください。
うちのさん
コメントどうもありがとうございます!
お役に立てて嬉しいです。
さて、ダイワリールのシャフト部へのシマノオイルの注油ですが、基本的に問題無いと思われます。
ダイワとシマノのメンテナンスオイルは、共にベアリングやシャフト部の潤滑の為に注油するものと考えれば、多少粘性に違いがあるようですが、どちらの製品でも問題は無いと考えられます。
ただし、異なるオイルを混合させるのはあまり良くないと思われますので、元々のシャフト部のオイル(ダイワ純正?)をパーツクリーナーを染みこませた布などを用いて除去した上で注油することが望ましいと思われます。